“聞く経営”とは、事業活動に常に現場(お客様・現場)の声を反映させる仕組みを取り入れた経営のことです。
事業の成功は、長期的かつ継続的な発展が必要です(もちろん短期的目標の達成も大切ですが)。 そのためには株主・従業員・お客様の3つの価値を高めていく必要があるわけですが、その中でも、私たちが最初に考えなければならないのは、「お客様の価値をいかに高められるか」といわれています。お客様が自らの企業を選択いただき、積極的な行動(再購入、取引の継続、他者への口コミ・紹介など)をとっていただく必要があることからも理解されやすいでしょう。
また、企業を取り巻く環境が目まぐるしく変化し、洗練された顧客が増えていくといった環境の変化は、なかなかコントロールできないものです。どのような方向に進み、限られた経営資源を有効的に使うかにも、お客様の視点から事業を捉えること(評価に取り入れること)が重要視されています。
お客様は私たちの製品やサービスと接する際、一連の経験(購入前・購入時・購入後)をします。その各場面でいかにお客様のニーズと期待に応えられているかが、その後の積極的な行動をとっていだけるかどうかを左右されます。ともすれば、その一連の経験を自分たち提供側の都合から捉えがちであることを留意しましょう。
なお、お客様が企業を評価するのはあくまでも「製品やサービス」でしかありません。それを支えるための社員の行動が必要であり、それらを支援する制度やしくみが用意されているでしょうか。CS風土は醸成されているでしょうか。これらがお互いに関連づいていることが求められます。
3つの価値とは、「事業の利益」、「お客様の満足」、「社員の満足」です。
例えば、お客様の声を聞くばかりに、社員が疲弊し、人件費がかさみ、利益減(これは、「お客様の満足」が引っ張っている状態)というように、どこかの価値に重点が置かれているという状態ではなく、3つの価値のバランスが保たれていることが大切です。
3つの価値は、お客様に価値を提供し、その結果、売り上げ・利益につながり、社員にも還元されるというサイクルを描くわけですが、そのお客様の価値を生み出すのは社員でしかありません。社員が3つの価値を支えているということを再認識しましょう。
では、これらの3つの価値をどのように測定することができるでしょうか。事業の利益は定期的に測られ、その指標はオープンにされています。では、お客様の価値や、それを支える従業員の価値はどのようにして測ることができるのでしょうか。
お客様の価値については、現在の事業活動の評価を、自社内の取り組み課題(新製品の投入数、営業コンタクト数など)の達成とその成果・結果(利益)をつなぐ、成果・結果につながる指標(お客様の意識や行動レベル指標、これをCS指標と呼ぶ)を導入し、社員については、CSマインド指標(現場のコミュニケーション数、社員のCS意識)や支援システム(働きがい、教育・制度の充実など)などを継続的にモニターすることが必須です。
なお、常にこれらの指標は正しいのかどうか、正しいとすれば継続的にモニタリングしていくにはどうすればいいのかと、“聞くクセ”を持つことが大切です。 |